十代目平兵衞
こんにちは。
砂糖商「駒屋」第十代 平兵衞です。
これまでのお話を踏まえ、「駒屋」の再復興期とすべく代を継承いたしました私の話をさせていただきます。
新工場の設立
砂糖と言っても、食品であることに変わりありません。
以前の工場では、各大手企業様より工場監査を受けていたため安全品質のためのマニュアルは確立されていましたが、どうしても建物に関与する点においては基準ギリギリのところで行っておりました。
そのため、時代に求められる品質の商品を製造するため、八代平兵衞の頃からの製造工場を閉鎖し高品質の対応が可能な新工場を設立いたしました。これにより、設備としても、製造手順や管理としても、どのような工場監査を受けても簡単に合格点をいただけるまでの製造現場を確立いたしました。
「物語のある砂糖」ブランドへの転換
「物語のある砂糖」コンセプトムービー
世間では「角砂糖」という言葉を用いますが、成形されたものをすべて「角砂糖」と言ってしまうと「角」ではないデザインシュガーも「角砂糖」という分類になってしまいます。
これでは、『弊社独自の製法だからできる』様々な形状の成形砂糖が差別化できませんでした。そのため、価格が高くなることに違和感を覚える企業様やお客様が多くいらっしゃいました。
CMなどを手掛ける有名なクリエーターさんとお仕事をすることになり、弊社の歴史や現在の工場、私の想い、社員の想いをすべて聞いたうえで、『「物語のある砂糖」というテーマがぴったりだと思います。』と提言していただきました。砂糖に懸けてきた駒屋の物語、それにまつわる人の物語、砂糖自体の物語、そして現在、駒屋に携わる私や社員達の商品創りにかける物語。それらは、すべて一粒一粒の砂糖に込められていると言ってくださいました。
一つのデザインされた砂糖を完成させるまでには、多くの時間と手間と費用がかかっています。
単純に立方体や直方体の成形をすることとは全く異なります。
その区別をするために「物語のある砂糖」というテーマを授かりブランドとして構築していく方針へ転換をいたしました。
砂糖の新しい可能性を切り開く
身近にある砂糖ですが、砂糖自体の研究というものはあまりされていません。実際に砂糖に関する論文もそれほど多く存在しません。
その理由は、おそらく「砂糖を研究しても、必要とする人がいない(お金にならない)」ということだと想像しています。だからこそ、逆に私達が研究しなければならないと考えています。成形して固めることすら、科学的な説明が深く出来る人は、それほど多くないと思います。
話は変わりますが、わたしたちが営業していると「砂糖って選べないよね」という言葉をよく耳にします。しかし、実際は砂糖の種類というものは非常に多いのですが、みなさん同じようなことをおっしゃいます。この理由は『使用用途が同じ』『違いがあまり感じられない』という事だと考えています。
わたし、十代平兵衞としてすべき事柄は、砂糖というものを深堀りし、多用途に違いが感じられる新しい砂糖(新しい価値観)を創ることと方針を定め、世界で最初に道を切り開くべく進んでおります。
次回は「駒屋の未来」についてお話します。