なぜ砂糖は精製して白くするのか?
オセロが苦手なギンです。こんにちは。
多分生涯で3回くらいしか勝った記憶がありません。碁石でオセロだったら負けはしないのに。
黒が白くなるからいけないんだ!
ということで、今回はなぜ砂糖を精製して白くするのかです。
その理由は大まかにまとめるとこんな感じです。
- 品質
- 作業性
- 調味料としての役割
まず「白くしている」と言ってしまいましたが、決して「白く」しているわけではありません。
砂糖の原料は甜菜大根やサトウキビですが、これらに共通してショ糖というものが含まれています。黒糖にも、キビ糖にも甜菜糖にもショ糖というものが含まれています。
その中から、純粋なショ糖だけを取り出したものがグラニュ糖(純度99.7%)です。
例えば、海の水の中から純粋な水だけを取り出すようなものです。あるいは、純粋な塩を取り出すようなものです。
つまり余分なものを取り除いて、純粋な甘み成分のみを取り出した結果が、砂糖なのです。
そうすることで無色透明の結晶が取り出されます。「白く」というのは慣用的な使い方で砂糖を白いと思っている人はいないと思います。信号の「青」と同じようなもんでしょうか。
また、よく“自然界に無いもの”と揶揄される砂糖ですが、そんなことを言い出したら、塩も純水もありとあらゆる食べ物は自然界にそのまま存在していないものって多いですよね。例えば発酵食品なんかは、酵母菌を利用した人の手を介することで出来る優秀な食品です。こうやって人の手によって加工されて出来る素晴らしい食物もたくさん存在します。砂糖も、植物が自然の力を利用して自身の体内で作成したれっきとした天然モノです。
では本題に行きましょう。
1.品質について
品質を保つ
前回のお話のなかで「黒糖は確かに栄養が豊富だが、食べれる量から考えて、摂取できる栄養は実はグラニュ糖と大差がない。」ということを言いました。しかし微生物からしたらとても豊富な栄養源です。それでも繁殖はしにくいですが、黒糖にはカビが生えます。保管状態にもよりますが、カビの生えた黒糖を見たこともあります。逆にグラニュ糖はカビが生えません。見たこともありません。これは、砂糖が菌の活動に使う水分を奪ってしまうからです。
なので、パンもあまり砂糖を入れすぎるとイースト菌の働きが鈍くなってしまうので、甘いパンはイーストを多めに入れるのです。菓子パンとかね。
前回はこちらからどうぞ
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安定した品質
黒糖は時間がたつと味と香りが損なわれていきます。一方砂糖は味も香りもほとんど変化を起こしません。だから、賞味期限も記載がありません。
2.作業性について
使いやすさ
黒糖は大きな塊です。黒糖に含まれている糖蜜が固まりやすくしているのです。だから液体とかに溶かすのに非常に苦労します。塊を粉砕してからじゃないと使えません。
一方、砂糖の場合は小さい粒状です。製菓用に家庭よりも細かいグラニュ糖も有ります。プリンを作るときも牛乳を入れた鍋にザザザッと入れます。パンをこねる場合もミキサーの中にザザザッと入れます。3分くらいミキサーを回せば跡形もなく溶けていきます。
素早く美味しいものが作れるからこそ、安くも提供できるのです。
砂糖の力
砂糖の役割は甘みだけではありません。このブログを見てくれている方ならお分かりとは思いますが、砂糖の様々な効果があります(詳しくはヨシさんの砂糖の効果のブログを)。しかし、黒糖等の不純物が一緒だと、効果が弱くなってしまったり邪魔されることもあります。
それらの効果をいかんなく発揮させるために精製するんです。ちょうど、ご飯やクリリンが最長老様と出合った時のような感じかな(知らないか)。
3.調味料として
食材の色を引き立たせる
見ての通り、黒糖は色が付いてます。一方砂糖は無色透明です。
黒糖で生クリームを立てたら、黒くなります。レアチーズケーキも黒くなります。ありとあらゆる砂糖を使っている食べ物が黒っぽくなってしまいます。私の好きなクレームブリュレも、ティラミスも、ミルフィーユもです。ケーキ屋のショーケースが黒いものでごった返してしまいます。透明であることで、素材の色が映えます。ゼリーやグミは透明感が大事です。
もちろん、黒糖を生かした色も素敵です。でも、他の色があるから黒も映えるんですよね。
食材の味と香りを生かす
黒糖はそれ自体美味しいですが、独特の味と香りが有ります。それゆえに素材そのものの味を邪魔することもあるのです。
嫁「今日、ちょっと高い卵で卵焼き作ってみたの。」
夫「黒糖味だったね」
嫁「今日の肉じゃがどうかしら?」
夫「黒糖味だね」
嫁「このパウンドケーキ食べてみて!」
夫「黒糖のパウンドケーキだね!」
となって、生活も味気なくなってしまう気がしますね。砂糖は単純な甘みで、素材の邪魔をするほどの香りは有りません。
以上の点から砂糖を精製しているのです。
砂糖は調味料であり黒糖は食材・食品というイメージを持ってもらうと分かりやすいかと思います。
おまけの話
黒糖を初めて日本に持ち込んだのは中国の僧、鑑真和上と言われています(違うとも言われていますが。)その鑑真が6度目のチャレンジで辿り着いたのが阿児奈波嶋(あきなわじま)です。そう、沖縄のことですね。漢字は当て字です。
沖縄県は昔は琉球王国だったことはよく知られていますが、その前は沖縄だったんです。実は琉球時代より沖縄時代の方が合計すると長いんですね。知ってました?
あ、別に鑑真は黒糖をどうしても日本に持ってきたくて国禁まで破って、失明までして渡ったわけじゃないですよ。「マジこの黒糖美味しいから食べてみて」ていうことじゃないです。
その情熱は仏教伝来のところから来てるんですね。
今回はこの辺で。
次回はあえて加工して砂糖を精製してるのに手間のかかってる砂糖の方が黒糖よりも安いの?という疑問にお答えしていこうと思います。
それでは。
追記 次のはここから飛べるのでどうぞ~!
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